皆さんこんにちはルリアゲハです。世界史で中東の学んでいると、出てくるイスラーム教。そんな世界史を学ぶ上で切っても切り離せないイスラームですが
と悩んでいるかもしれません。そんなあなたも大丈夫ですよ。
今回の記事では
- イスラーム教が成立した時代背景
- どういう流れでイスラーム教が成立したのか
- イスラーム教の教え
- イスラーム社会
について丁寧に解説していきます。
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イスラーム教って何?
イスラーム教というのは6世紀にアラビア半島で生まれた宗教です。ムハンマドという人がイスラーム教を始めたことで有名ですよね。おそらく一度くらいは聞いたことがあると思います。
現在、世界に5人に1人がイスラーム教徒で、世界史に大きな影響を与えた世界的宗教ですよ。普通に考えると、それくらい魅力的な宗教だったということですね。
なぜ現在までずっと、多くの人が信仰したのでしょうか?
その一番の理由は
信者は神の前ではみんな平等
という点です。豊かな人も貧しい人も平等という画期的な教えは多くの人を引き付けます。
実際に、イスラーム教初期はアラビア半島に暮らすアラブ人だけでしたが、後にはトルコ人やペルシア人なども信仰するようになりますよ。
ちなみに、イスラーム教が成立したのは、日本で言うと飛鳥時代ですよ。人権なんて概念がない時代だったと考えると、本当に画期的な宗教ですよね。
他のイスラーム教の主な特徴としては
- 唯一神アッラーのみを信仰する一神教
- 偶像崇拝は禁止
- 聖典はクルアーン(コーラン)
- 信者は六信五行を守って生活する
- 政教一致(政治と宗教は一緒にする)
- ユダヤ教やキリスト教と同じ神を信仰
などが挙げられます。
でも、ちょっとこれだけだと分かりにくいですよね。なので、もう少し詳しく確認しましょう。
最初の、唯一神アッラーのみを信仰する一神教というのは
「この世界にはアッラー以外の神はいないし、だから私たちはアッラーだけを信仰する」
ということです。一神教というのは唯一絶対の神を信じる宗教ですよ。例として、キリスト教が挙げられます。一神教と真逆のものは多神教です。例えば、日本の神道やギリシャ神話が多神教ですよ。
実際に礼拝や新しくイスラーム教に入信するときに
「アッラーの他に神はなし。ムハンマドはその使徒なり」
という意味の一節を唱えます。それくらい大事な教えです。なので、イスラーム教は唯一神アッラーを信仰する一神教というのは絶対に覚えてくださいね。
次の偶像崇拝の禁止は神の像を造ったり、絵に表して拝んだりしてはならないということですよ。
次はクルアーンについて見ていきましょう。クルアーンというのはイスラーム教の聖典で、アラビア語で書かれています。
ちなみに、クルアーンと言われるのはアラビア語で書かれたものだけですよ。他の言語で書かれたものはクルアーンの解説書とされています。
その次に紹介するのは六信五行です。六信五行って何のこと?と思ったかもしれません。六信五行というのはムスリムが信仰すべき六つのことと実践すべき基本的な行動ですよ。一つ一つ覚える必要はないので割愛します。
次に紹介するのは政教一致です。政教一致というのは政治と宗教はくっつけるべきということですよ。今の日本では政治と宗教は別々にする政教分離ですよね。
しかし、イスラーム社会では日本とは対照的に
政治のトップ=宗教のトップ
になっているのです。
最後はイスラーム教ではユダヤ教やキリスト教と同じ神を信仰するについてです。
まずはそれぞれの宗教の神について見ていきましょう。
ユダヤ教=ヤハウェ
キリスト教=ゴッド
イスラーム教=アッラー
これらはすべて日本語に訳すと神なのです。なので、言語が違うから神の呼び名が違うだけで、同じ神を信仰しているのですよ。
イスラームの用語
イスラームの歴史を勉強していると、
- カリフ
- スンナ派 シーア派
- ムスリム
などよくわからない語句が出てきますよね。ここではよく出てくる用語を確認しましょう。
一つ目のムスリムというのはイスラーム教徒という意味です。ムスリムという用語はよく出てくるので、覚えた方がいいですよ。
二つ目のカリフはイスラームの最高指導者のことです。イスラーム社会ではムハンマドの代わりに共同体をまとめる人物と考えられています。つまり、イスラーム社会で一番偉い人ですね。さらにカリフには
正統カリフと普通のカリフに分けられますよ。正統カリフは選挙で選ばれた4代目までのカリフのことを指します。
最後はスンナ派とシーア派について紹介します。
そもそもスンナ派とシーア派というのはイスラーム教の宗派のことですよ。どこが違うのかというと、イスラームの指導者はどうあるべきかという違いです。具体的には
スンナ派(スンニ派)は指導者はムハンマドの教えを強く受け継いだ人がなるべき(教え重視)
シーア派は指導者はムハンマドと血が繋がっているべき(血統重視)
という感じです。信者の数は
スンナ派>シーア派
です。
なので、多数派のスンナ派、少数派のシーア派と覚えておきましょう。
と疑問に思ったかもしれません。簡単に言うと、最後の正統カリフの暗殺後のいざこざがきっかけです。
詳しくはこの記事の正統カリフのパートで紹介していますよ。
どんな流れでイスラーム教は生まれたのか
では、いったいどんな流れでイスラーム教は生まれたのでしょうか?
イスラーム教誕生には
「商人」
がキーワードですよ。
キーワードを踏まえて、イスラーム教が誕生した時代背景から見ていきましょう。
当時の時代背景
イスラーム教が生まれる前、西アジアはササン朝ペルシャとビザンツ帝国(東ローマ帝国)の抗争の最前線でした。二つの大国の抗争地は地図で見るとこんな感じですよ。
しかし、この抗争は東西交易をする商人たちの交易路を塞いでしまいます。なので、商人たちはアラビア半島を迂回してヨーロッパへ向かうことになりました。
商人が集まったアラビア半島はどうなったのでしょうか?
実はアラビア半島の西側に
- メッカ
- メディナ
などの商業都市が発展しました。どちらの都市もイスラームの誕生に深く関わった聖地ですよ。そして、メッカにイスラーム教の創始者ムハンマドが生まれます。
ムハンマド時代
どのような経緯でムハンマドはイスラーム教を開いたのでしょうか?
ムハンマドはメッカ出身というのはさっき習いましたよね。
答えを知る前に少し詳しくムハンマドの生い立ちを見てみましょう。
ムハンマドはメッカで
裕福な商人一族、クラッイシュ族に生まれました。幼い頃から裕福な暮らしをしてきた彼はあることに気づきます。
あることというのは
どうして商人には貧富の差があるのだろうか?貧富の差をなくすことはできないのだろうか?
ということですよ。
都市に商人がたくさんいたら、商売が上手な人も下手な人も出てきますよね。そうすると、豊かになる人と貧しい人の格差が生まれます。
商人同士の格差を何とかできないかとムハンマドは考えたのです。
ある日、そんなことを考えながらムハンマドは瞑想します。
すると、ムハンマドのもとに天使が訪れて、神のお告げを伝えに来ました。
天使が言うには
「今までモーセやイエスに伝えた神のお告げは不完全なものですよ。しかし、あなたには特別に真の神のお告げを伝えましょう。」
ムハンマドは、神の言葉を預かった預言者として、イスラーム教を開きます。
メッカで宣教を始めたムハンマドですが、ある壁にぶち当たります。
それはメッカでの迫害を受けたことですよ。
格差を無くそうと宣教していたムハンマドは
と大商人たちから批判されたのです。
そして、632年にムハンマドと信者たちはメディナへ移住しました。
メディナに移住したことを聖遷(ヒジュラ)と言いますよ。
そこで、彼らは、イスラームの共同体を作ってイスラーム教徒で一致団結します。
そして、一致団結して戦い、アラビア半島全域を支配することに成功しました。
ちなみに、今のイスラームでは聖遷した632年から始まるイスラーム暦(ヒジュラ暦)があります。イスラーム暦は西暦でいう632年が紀元元年になって続いていく暦ですよ。
なので、イスラームでは聖遷があったからこそ今のイスラーム教があると捉えられています。
正統カリフ時代→ウマイヤ朝成立
ムハンマド死後は正統カリフがイスラーム社会をまとめる時代が訪れます。
正統カリフって何?
と思ったかもしれません。正統カリフというのは、ムハンマド死後三十年間に登場した4人の指導者のことです。そもそもカリフというのはイスラーム社会の宗教的な指導者ですよね。
どういう経緯で誕生したかというと、ムハンマドが死んだあと、
誰がムハンマドの代わりにイスラーム共同体をまとめるのか?
という問題が生じました。というのも、アッラーのお告げを聞けるのは、イスラーム共同体をまとめていたムハンマドだけだったのです。なので、ムハンマドの代わるイスラーム社会の指導者が必要になりますね。
結局、イスラーム教徒の中から信者が投票してカリフを選ぶこととなりました。
選挙で選ばれた正統なカリフなので正統カリフですよ。
そうして、選ばれた4人の正統カリフを見ていきましょう。ちなみに、全員男性ですよ。
アブー・バクル→ウマル→ウスマーン→アリー
絶対ではないですが正統カリフの名前は覚えた方が周りと差がつきますよ。(でも、アリーだけは覚えておいてくださいね。)
ところが、最後の正統カリフ、アリーの時代にあるいざこざが起こります。
なんと、アリーが何者かによって暗殺されたのです。
アリーはムハンマドと血が繋がっていました。
アリー暗殺後、イスラーム社会はムアーウィアという人がカリフを自称してまとめます。
ムハンマドの血縁のカリフが殺されて、カリフを勝手に名乗った人がイスラーム社会を治める。
何か揉めそうな予感がしませんか?
もちろんそうです、揉めます。
多くの人(後のスンナ派)は
カリフはムハンマドの教えを受け継ぐ人がなるべき
と考えました。
しかし、一部の人(後のシーア派)は
と主張して、ムアーウィアがカリフになることに反発します。
そうして、多数派のスンナ派と少数派のシーア派に分かれたのですよ。この二つのイスラームの宗派は今も続いています。
しかし、最終的にムアーウィアはウマイヤ朝と建てました。そして、ウマイヤ朝以降はカリフは世襲で選ばれるようになります。
なので、選挙で選ばれる正統カリフの時代は終わったということですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は世界史に登場するイスラーム教成立から正統カリフについて解説しました。今回の内容を簡単にまとめると
- イスラーム教は6世紀にアラビア半島でできた世界宗教
- 創始者はムハンマド
- イスラーム教は商人の宗教
- 成立の背景はササン朝とビザンツの抗争で交易路封鎖⇒アラビア半島を迂回⇒メッカ、メディナが発展
- メッカの大商人の子ムハンマドは神の啓示を受けてイスラーム教を始める⇒迫害からメディナへ移住⇒イスラーム共同体を作る⇒アラビア半島全体に教えを広める
- ムハンマド死後は選挙で選ばれた正統カリフが統治
- 最後の正統カリフが暗殺される⇒ムアーウィヤがカリフを自称してウマイヤ朝建てる⇒一部のイスラーム教徒が反発⇒スンナ派とシーア派の成立
という風になります。
イスラームは世界史を勉強するうえで欠かせないので、特に意識して覚えてくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。